天の河地の河 パキスタン 22019年02月18日 20:37

 サイドシャリフから東のベシャムヘぬける道は、途中、2,120m のシャングラ峠を越え、舗装されてはいるが、カーブの多い険しい山道だ。狭い道だが、けっこうとすれちがう車もある。おおかたは木材などの荷物を満載したトラックか乗り合いバスである。見通しの悪いカーブにさしかかると、この国独特のおそろしく派手なクラクションを鳴らす。日本のように単一の音ではなく、いろいろなバリエーションがある。どのように使い分けているのかわからないが、「ドレミファソファミレドレミファソラシドー♪」とか、「ドレミドレミ♪」とか音の高低があり、メロディーになっている。狭い道にも係わらず、大きな車どうしが器用にすれちがう。道の片側は高い岩の壁がつづき、反対側はまるで井戸の底を覗いているような感覚におそわれる深い谷底になっていることが多い。谷底にはくすんだ色のインダス川が流れている。対岸には緑の急な斜面の所々に段々畑と白い木造の家が見える。道らしきものは見あたらないのに、いったいどうやって行き来しているのだろう。それどころか、どうやってあんな所に家を建てたのだろう・・・と思うと同時に、自然の厳しさをものともせず生活している人々に心底感心してしまう。 (つづく)